Notice: Function _load_textdomain_just_in_time was called incorrectly. Translation loading for the all-in-one-seo-pack domain was triggered too early. This is usually an indicator for some code in the plugin or theme running too early. Translations should be loaded at the init action or later. Please see Debugging in WordPress for more information. (This message was added in version 6.7.0.) in /home/brotherhood-reha/www/wpd/wp-includes/functions.php on line 6114
ナチス・ドイツのT4作戦から障害福祉を考える - ブラザーフッド

医療従事者による記事

ナチス・ドイツのT4作戦から障害福祉を考える

2021年3月24日

Brotherhood

① T4
② 1939/9/1
③ 7万人

みなさんは、これらの数字やアルファベットが何を意味するかお分かりになりますか?
① のT4は、ドイツ・ベルリンにあるティアガルデン通り4番地の略になります。その地で、ナチス・ドイツ(アドルフ・ヒトラー及び国家社会主義ドイツ労働者党による支配下のドイツをさす)の優生思想に基づいた政策である強制的安楽死計画が行われました。その計画名が「T4作戦」と呼ばれています。
② は、ドイツがポーランドへと侵攻し、第二次世界大戦が勃発した年です。その戦火の中でT4作戦が強行されました。
➂は、そのT4計画による犠牲者の数です。また、この計画は、ユダヤ人やロマ族(ジプシー)その他の大量殺戮のモデルとなったともいわれていて、ホロコーストの犠牲者数は約600万人との報告があります。ヒトラーの命令を受けた医師たちの監督の元、病人や障害者が、ガス室で殺害されました。障害のある乳幼児も薬物注射か飢餓によって殺戮されるという「異常」とか「狂気」という言葉でも余りあるほどの非人道的な作戦でした。

ヒトラーは、「戦争は不治の病人や障害者を抹殺する絶好の機会である」と語っていたそうです。
この言葉からヒトラーは障害者に対してかなり強い軽蔑の念を持っていたことを察せられます。
市民や宗教家の反対にあいながらも、1940~1945年にかけて大勢の心身障害者や子どもが犠牲となりました。

ドイツ民族の強化を図る上で、排除しなくてはならない因子を強制排除しようとしていたようです。その因子はユダヤやジプシーなどの外的な人種差別による対象だけでなく、ドイツ内部の人々へも矛先が向けられていたのです。
ドイツ内部で排除対象となった人々が病人や障害者であり、静寂な遺伝子の産物という扱いを受けていました。そして、ヒトラーはドイツ民族の遺伝子群を弱める恐れがあると考え、「作戦を行使することで人類を計り知れない不幸から解放する。」と言い放ちました。

これは、2016年7月に神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた大量殺人事件(19名死亡・26名負傷)の犯人である植松聖死刑囚の犯行動機と酷似しています。
植松死刑囚は、「障害者は不幸をつくることしかできない。」と語って、凶行に及んだとのことです。

ヒトラーと植松聖・・・互いに知りえぬ者同士が、時空を超えてまで恐ろしい狂気に満ちた思想を持っているのです。

ヒトラーは演説の中で、
「平和は剣によって守られる」
「個人の幸福より公の幸福を優先せよ」
といった言葉を残しました。

私は、ヒトラーの言葉から「人を殺すのは、武器でなく思想である」ことに気付かされました。
戦火が燃える中では、人を殺すことも正当化され、殺戮者が英雄扱いされる狂った世の中になってしまいます。まさに平和な世界とは真逆の考え方が蔓延ります。
では、平和を誓った現代の世の中では、障害者に対してどのように接するべきなのでしょうか。

参考文献・参照資料等:
① ヒューG.ギャラファー(長瀬修=訳):「ナチスドイツと障害者安楽死計画」、2017年、現代書館
② 産経ニュース 野口裕之の軍事情勢 https://www.sankei.com/premium/news/160808/prm1608080003-n1.html 2021/3/11閲覧
③ J-castホームページ https://www.j-cast.com/tv/2016/07/29273860.html 2021/3/11閲覧


Brotherhood

この記事はBrotherhoodが執筆しました。
記事一覧