介助と介護の違いについて
2021年1月20日
介助と介護の違いについて
「介助」とは、病気や障害などによって自由に動くことや生活がしづらい(あるいはできない)人に対して必要なお手伝いをする行為をいいます。
例えば、歩行する際にふらついて転倒してしまう恐れがある方の介助では、介助者が横について支える介助を行います。他にも、動作(寝返り・起き上がり・立ち上がりなど)・食事・入浴・排泄・・・などの場面に必要とされることがあります。介助を受ける方の能力や動作レベルによって、介助のレベルも変動します。
一方、「介護」は、慢性的に介助を必要としている人に対して、定期的に関わり合いながら必要な手助けをする行為をいいます。「介助」がその瞬間だけ一時的に行うのに対し、「介護」は短~長期的なスパンで介入することで全般的な介助が行われます。尚、介護は、ある程度の期間をかけて関わることになるので、対象者の変化に合わせて介助内容や手段も変化します。
このように、介助は介護の中の一端を担う手段であり、介護を受ける人の安全な生活を守るメソッドとなります。
リハビリテーションの専門家が行う介助
私が、介助をする上で大切にしているのは、介助を受ける方のもつ力を最大限引き出すことです。
そのために、介助をする前にしっかりアセスメント(その人の有する能力の評価・動作の分析)を行い、「この方は、どこまでのことができて、何ができないのか。」ということを見極めて、介助内容・方法を検討・決定します。その上で、敢えてすべての介助はせず、必要な分だけの介助にとどめます。
すべて介助してしまえば、簡潔かつ効率的という考え方もあるかもしれませんが、それでは、かえって介助をすることで「できる」を「できなくする」ことになってしまうこともあります。
また、「できない」と「できていない」は異なるので、その相違に気付いて頂くための指導も行います。
例えば、足が弱っていて立つことができないという人でも、身の回りの環境を整えるだけで立てるか否かが分かれる場合があります。イスから立ち上がることができないという人がいたら、イスの高さや足の位置、床の材質などを変えることで立つことができることもあります。
現状で変えるべき点を修正し、介助される方がもつ能力を最大限引き出した上で介助を行えば、介助される方の「できること」を失わずに生活を送ることができます。
根拠なしにすべてを介助してしまうと、「できること」を「できないこと」にし兼ねません。そうなると、介助に依存的な状態になってしまうことで自立の妨げを招き、介助者の負担も増大させてしまいます。よって、できることは可能な限りご自身で行って頂き、本当にできなくて困っていることをお手伝いすることが、介助を受ける方の機能を維持していくことにも繋がります。
そうすることで、長い目でみても、介助する側と介助を受ける方双方にとっての負担が緩和されるでしょう。