Brotherhoodのリハビリテーション
2021年3月24日
Brotherhoodの提供するサービスについては会社説明の中にも記載しましたが、ここでは「一般的なリハビリテーションと当社のサービスの違い」「現代リハビリテーションにおけBrotherhoodの位置づけ」についてを中心に細かく説明していきます。
そもそもリハビリテーションの語源って?
ラテン語で、re(再び)とhabilis(適した)を足して、「再び適した状態になる」「本来あるべき状態に回復する」等の意味があります。
但し、実際のリハビリ場面においては、障害を抱える前の状態にまで元通りになることもあれば、その限りでもないのが実状です。
WHO(世界保健機関)によるリハビリテーションの定義
「リハビリテーションは、能力低下やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。
リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促す全体として環境や社会に手を加えることも目的とする。
そして、障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関するサービスの計画と実行に関わり合わなければならない。
日本におけるリハビリテーション
病気や外傷により心身に障害や生活への支障が生じたときに行われます。リハビリテーションは、急性期・回復期・維持期などの段階に分かれており、その段階や状態に応じた訓練・指導が行われ、それぞれの回復過程を辿ります。
その中でリハビリの専門家である理学療法士は、運動療法による機能訓練や物理療法での痛み緩和、福祉器具・環境の指導等を行い、患者さんが安全性の高い生活を送るためのお手伝いをします。
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)の生活機能分類
↑ICF(International Classification of Functioning, Disability and Healthの略、国際生活機能分類)
ICFが広まる前は、ICIDHという国際障害分類が主流とされていました。
「ICIDH」は、1980年にWHOが公表した分類で、障害を機能障害・能力障害・社会的不利の3段階に分けて捉える障害の階層性を示すものです。しかし、客観的に障害を決定付けるマイナスな考え方でした。病気や障害などによる機能障害が能力障害(歩けない・階段の昇り降りができないなど)を招き、それによって社会的不利(外出できない・公共交通機関を利用できない等)が生じるという考え方でした。
そこで、個人個人の主観性を重視したものに改訂されたのがICFになります。
「ICF」は、人間の生活機能と障害についてを「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの次元及び「環境因子」等の影響を及ぼす因子で構成し、病気や障害をもった人自身やご家族、周囲の人たちが病気や障害の状態について共通理解するために用い、マイナスでなくプラスに考える概念となりました。その人の生活機能は健康状態だけで決定されるものではなく、家族や社会などの背景の影響も受け、相互に作用するものだからです。
また、個人モデル(その人自身の問題により日常・社会生活に制限が生じるという考え方)ではなく、社会モデル(社会側にある障壁によって障害が生じるものであるから、当事者だけでなく社会全体の共同責任と捉えて取り組んでいくという考え方)の考え方が重視されるようにもなりました。
このように分類する目的としては、その人個人をより深く掘り下げるためです。同じ病気や障害
をもった複数の人たちがいたとしても、その人たちが同じ状況に置かれる、あるいは同じ生活をすることはあり得ません。住んでいる家の環境やご家族の構成、状態、関係性などによって、個人個人の生活はまったく異なるものとなります。よって、それらを分類することで、社会側がなにをするべきかを導く指標として用いられます。
ICFは、「人がなにかを行おうと働きかけたときに生じるものが障害である。」と言っています。
Brotherhoodのリハビリテーション
病院やリハビリ施設で行うような身体機能へのアプローチ(関節可動域訓練や筋力強化訓練、歩行・動作訓練など)の重要性は論じるまでもなく、機能向上(維持)を図っていく上で欠かせません。しかし、訓練を継続的に行うことである一定(人によって異なる)までの回復は望めますが、必ずしも元通りまで回復するとは限りません。特に、ご高齢に方や重篤な障害を抱えている場合は、回復過程が難航するのが現実です(例:〇心疾患がある場合は過負荷がかけられないため低負荷の運動しかできない。〇関節が痛いため、思うように筋力強化訓練ができない。〇薬の副作用によりリハビリ意欲的になれない。〇食欲がなく食事摂取量が低下している。・・・など)。
よって、がむしゃらに機能訓練を続けていればいつの日か必ず回復するのは考え難いことです。
例えば、足腰の筋力が弱ったことにより歩行が不安定なご高齢のおばあちゃんがいたとします。その方が、毎日100回スクワットをしたとしたらしっかりと歩けるようになるでしょうか?
筋力がつくかもしれませんが、かえって膝の関節が痛くなってしまうかもしれません。
よって、ご高齢や障害を抱えている方々で、寝たきり状態や車椅子を使用しなくては移動できない方の活動量を向上させたい場合は、機能訓練を続けつつ別のアプローチも考えていくべきです。また、個人モデルでなく、社会モデルの概念をもって現実的かつ具体性に富んだ解決方法を追求していかなくてはなりません。
障害者がハンディキャップを克服できないのなら、社会側がハンディキャップになりうる障壁を無くすよう努めていくべきです。
この社会モデル自体も途上段階にありますので、Brotherhoodも理想的な社会モデルの理論と実践の発展へ向けて寄与していきます。
現代の医療と福祉は、保険の中で提供されることが主流です。しかし、保険内では、生活を営む上で必要な範囲内の支援は行なわれますが、それ以上の支援を求められた場合には対応できていないことが多いです。
よって、障害者の方々がより充実したサービスを受けるためには、保険外でも安全性が確保された質の高いサービスが整備されていく必要があります。
既存のサービスで不足している部分を補助および拡充をしていくことで、 社会モデルの変革を遂げていくべきと考えております。
参考文献
① 一般社団法人全国地域生活支援機構ホームページ、ICF(国際生活機能分類)とは?~障害のある方を支援する場で使われる共通の言葉・考え方~、https://jlsa-net.jp/hattatsu/icf/
② 厚生労働省ホームぺージ、国際生活機能分類について、https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html
③ 福辺節子:「人生はリハビリテーションだ」義足の理学療法士がみつめた障害・自立・介護、2008年、教育史料出版会
④ 佐藤仙務・恩田聖敬:「絶望への処方箋」、2017年、左右社
⑤ 渡辺一史:「なぜ人と人は支え合うのか~障害から考える~」、2018年、筑摩書房
⑥ ホーキング青山:「考える障害者」、2017年、新潮社
⑦ 荒井裕樹:「障害者差別を問いなおす」、2020年、筑摩書房